まずは問題を解いてみよう
解説
この問題の意図
胸郭出口症候群の病態や徒手検査と、経穴の解剖学的な位置を理解しているか
胸郭出口症候群の検査法について
問153でも出てきましたが、今度は、「どの部分が絞扼されているのか」という、もう少し細かい部分を検査法と一緒に確認していきましょう。
・なで肩でやせた20代の女性である
・上肢のだるさを主訴としている
・スパーリングテスト、エデンテスト、ライトテストは陰性である
・アドソンテストは陽性である
→「胸郭出口症候群」の病態と当てはまる。
モーリーテスト:鎖骨上窩を圧迫し、斜角筋部の絞扼をみる
アドソンテスト:頭部を回旋させて深呼吸させることで、斜角筋部の絞扼をみる。
ライトテスト:両上肢を挙上、90°屈曲、肩関節を90°外旋・外転させることで、小胸筋部の絞扼をみる。
エデンテスト:両肩を後下方へ牽引することで、主に鎖骨下の絞扼をみる。
選択肢の解説
屋翳は、解剖学的な位置としては小胸筋に該当する。ライトテストが陰性であることから、小胸筋部で絞扼は生じていない可能性が高く、治療穴としては適さない。よって、誤り。
気戸は、解剖学的な位置としては大胸筋や鎖骨下筋に該当する。ライトテストやエデンテストが陰性であることから、胸筋部や鎖骨下で絞扼が生じていない可能性が高く、治療穴としては適さない。よって、誤り。
※ちなみに気戸は深部に肺が存在し、深い刺鍼は気胸のリスクがあるので注意する必要がある。
胸郷は、解剖学的な位置としては大胸筋や小胸筋に該当する。ライトテストが陰性であることから、小胸筋部での絞扼は生じていない可能性が高く、治療穴としては適さない。よって、誤り。
天鼎は、解剖学的な位置としては前斜角筋・中斜角筋に該当する。検査の中で、アドソンテストが陽性になったことから斜角筋部で絞扼が生じている可能性があり、この経穴の位置は絞扼部の局所治療穴として適している。よって、正解。
これらより導き出される解答
上記より答えは「天鼎」
まとめ
いかがでしたでしょうか?私自身、このような症例問題は今までに勉強した様々な内容が同時に出てくることで混乱してしまい、苦手意識をもっていました…。ですが、何問か症例問題を解いていくうちに段々と疾患・徒手検査・疾患でよく使われる経穴などが頭に入ってくるようになりました。解いていてわからなくても、解説を見ながら学び、自分の知識にしていけるといいですよね!
コメント