まずは問題を解いてみよう
解説
この問題の意図
脊髄損傷患者の病態と自律神経過反射について理解しているか
脊髄損傷と自律神経過反射について
脊髄損傷による神経障害は、運動麻痺や感覚障害だけではなく、呼吸器や循環器などの自律神経が関わる様々な臓器の障害を引き起こします。内臓器官に分布する自律神経は、交感神経がT1~L2、副交感神経が脳幹部とS2~S4由来であることも確認しておきましょう。
脊髄損傷レベルより下で身体に何らかの刺激がある際に、自律神経系の一部が過剰に活動すること。刺激の原因を取り除かないことで、頭痛、寒気がする、脈が遅くなるなどの症状が出たり、血圧の上昇によって脳内出血などが生じる危険性もある。
〜原因となる刺激〜
・膀胱壁の刺激
・腸の過膨張、腸の炎症
・便秘
・皮膚の感染症、切り傷
・きつい服、締め付けの強い服 など
選択肢の解説
自律神経過反射は、6番目の胸髄節(T6)以上の損傷で起こりやすい。腰髄損傷患者では、残存している胸髄節により脳からの抑制信号があるため、自律神経過反射を生じにくい。よってこれは誤り。
〜自律神経過反射が生じるまでの流れ〜
体への何らかの刺激が情報として脊髄を上行する。
→脊髄に損傷があることでその情報が脳にまで届かず、交感神経の活動が亢進する
→血管の収縮による血圧上昇
→心臓や血管の受容器が脳に情報を送り、心臓の心拍数を減らす(徐脈)。 よって誤り。
自律神経過反射による血圧上昇では、すぐに降圧薬を与えてしまうとショックを生じる可能性が高い。まずは、座らせたり、上半身を起こしてあげることで血圧を下げる。よって、これは誤り。
便秘や膀胱に尿が貯留しているなど、臓器への何らかの刺激が自律神経過反射の原因となる。よってこれが正解。
これらより導き出される解答
上記より答えは「便秘が原因となる。」
まとめ
脊髄損傷患者さんの症状として、運動麻痺や感覚障害だけでない症状も見落とさないようにしましょう。また、膀胱直腸障害や褥瘡を生じる頻度も高いのでそこも押さえておきましょう〜!
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