まずは問題を解いてみよう
解説
この問題の意図
鎮痛機構の分類がしっかりとできており、それぞれについて理解しているか問われた問題
鎮痛の分類
鎮痛はいくつかに分類することができます。
関係する部位 | 例 |
脊髄 | ゲートコントロール理論 |
中枢(脳も脊髄も関与) | 下行性疼痛抑制系 DNIC ストレス性鎮痛 |
末梢 | 末梢性鎮痛 |
それぞれがどういったものか把握していきましょう。
ゲートコントロール理論
まず、痛みはAδ線維やC線維が脊髄を通って大脳皮質に伝えられます。外側脊髄視床路というやつですね。痛み情報が伝わっている際に、新たに同じ脊髄レベルの範囲で触圧刺激が起きた場合、Aβ線維が同じ脊髄に触圧刺激の情報を大脳皮質に伝えるために入ってきます(前側脊髄視床路)。この際に、Aβ線維は抑制性介在ニューロンを興奮させ、C線維の興奮を抑制します。これにより痛みが脳に伝わらず、痛みがなくなったように感じます。この鎮痛をゲートコントロール理論といいます。これは、①脊髄の部分で起こる。②痛み情報を送っている線維と同じ高位の脊髄で起こる。ことから脊髄分節性と表現されます。
下行性疼痛抑制系
鍼刺激が加わった際に、痛み情報を送ると同時に、視床下部の弓状核、下垂体に情報を送り、下垂体からβ-エンドルフィンを分泌、それにより弓状核からドーパミンの分泌を起こさせる。弓状核から、中脳中心灰白質腹側部(背側縫線核)に行き、巨大神経細胞網様核同傍核からノルアドレナリン、延髄大縫線核からセロトニンを分泌させ、脊髄後角部で鎮痛を起こします。これを下行性疼痛抑制系といいます。
広汎性侵害抑制調節(DNIC)
侵害刺激が痛みを抑制する現象と表現されます。痛みのある部位以外の部位に痛み刺激を起こすと、その刺激中、もともとの痛みが抑制されるというものです。
末梢性鎮痛
末梢性オピオイド鎮痛とアデノシンA1受容体による鎮痛に分けられます。
末梢性オピオイド鎮痛は、免疫細胞が炎症や組織損傷が起こっている部位で増殖している際に、何らかの刺激を受けて、免疫細胞からオピオイドペプチドが分泌されることによっておこる鎮痛です。
アデノシンA1受容体による鎮痛は、組織損傷に伴って、ATPが分解され、アデノシンになった際に、その場のアデノシンA1受容体に作用することで起こる鎮痛のことです。
以上のことから、解答はゲートコントロール理論が適切と考えられるでしょう。
これらより導き出される解答
上記より答えは「ゲートコントロール説」
まとめ
今回は鎮痛の機序について触れているような問題ではなく、シンプルにどこの部位で起きているのかを聞いていた問題でした。しかし、今回解説した鎮痛の機序ぐらいは把握しておいた方が今後は良いかと思います。複雑で、教科書を読むだけだとなにを言っているのか理解するのに時間がかかり、記憶しておくのも苦労するかと思います。ですので、できるだけ自分の言葉で説明できるようにしておくことをお勧めします。
その他
試験演習
Adsense
おすすめ記事
SNS
公式LINE
コメント