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「普通に近い生活を」家族の視点から学ぶ介護の世界についてイベントレポート

2020年2月8日に行われた、”家族の視点から学ぶ介護の世界”第二回目の講義に参加してきた。

1回目のイベントレポートはこちら

本講義は面白法人カヤックが主催する「まちの大学」の一部として行われた。

まちの大学とは

2019年5月に開校した鎌倉に根ざしたコミュニティスクール。

地域資本主義を掲げ、環境資本・社会関係資本など、地域に根ざした資源を蓄積し還流させることを目的とした「まちのシリーズ」の1つとして、地域に根ざした学びを増やす活動を行なっている。

鎌倉の地域の特徴として3つのテーマを取り上げ、フード学部、ボディ&マインド学部、アイデア学部がある。

まちの大学HP
面白法人カヤックHP

第2回目となった今回も、東郷 俊宏氏(順天堂大学協力研究員/鍼灸salonえれじあぷらて〜ろ主宰)が、具体的な介護環境について自身の経験を踏まえて、1時間半にわたり講義が行われた。

介護をするという場面に直面したとき、自分が無防備であるということ、先行きの見えない不安から専門家に任せてしまう。
しかし専門職の方のバックグランドも視野に入れることで、自分も主体となって介護ができる。
と初回の講義内容の振り返りを挟み、実際の介護に対する準備の話から始まった。

東郷氏は、介護環境は介護者が生活者としての知恵やスキルをどの程度持ち合わせているかによって難易度が大きく変わってくると話す。
日常生活の中で一番移動の多い動線に手すりは付いているか?
トイレや洗面所に段差はないか?
など具体的例を示しつつ、実際の「生活」に即して行う介護の重要性について投げかけられた。

また続けて、介護における転倒の怖さはその後にあると話された。
術後の管理のため検査機器を付けていたり、下肢の血管が詰まらないようポンプを数日間付け続けたりと、入院中は高齢者でなくてもストレスに感じる生活をしなくてはならない。また入院による筋力の低下だけでなく意欲の低下にもつながると語られていた。

これら転倒のリスク管理のためにもバリアフリー化は大事である事と同時に、実際の「生活」に即して行う介護の形として、
ベッドやイスから立ち上がる際の力を入れやすい高さはどの高さなのか?
寝返りできる広さのベッドはあるか?
など考えて選ぶと「生活」がしやすくなるとのこと。
普段自分たちが当たり前、自然にしていることに、なぜ?と意識化しておくことが介護の現場で役に立つと言う。

講義後半は、介護をする上での原則として「衣・食・住」についてより細かく触れられた。
衣服は着慣れているものや着心地が良いもの、食事は食べ慣れているもの、施設であっても使い慣れているものに囲まれている状態を作ることが重要であるとのこと。

ある日東郷氏はお母様の下着を買いに行ったそう。その際に、本人の好みでないキャミソールを買ってきてしまいこっぴどく叱られたエピソードを話されていた。
それに続けて息子が一人で母親の介護をしている現場では、ボロボロになった下着を着ている方が多いとも付け加えられた。これは息子が、母親の下着を買うことに「目に見えないハードル」を感じており、同じものをはき続けているからだそうだ。

特に男性は、女性下着を買うことに対して恥ずかしいというレッテルを貼ってしまっている。でもこれは男性が作った幻想に過ぎず、日用品を購入している当たり前の事で、もし購入するのにあたり何が良いのか分からなければ店員さんに聞けばよい。
下着売り場の店員さんは女性であることが多いが、事情を話して相談に乗ってもらうべきであると具体的なアドバイスを示した。
また、介護を頑張る息子(男性)を否定する女性はいない!それ以上に、(自分にとって)最強の味方になり介護をして行く上で励みになるとも語っていた。「恥ずかしいと思うな、味方を作ると思いましょう」と男性に向けたメッセージと共に、実際に介護をしたからこそのエピソードトークはとても貴重な内容であった。

東郷氏は、
「介護のすべては、相手の気持ちになり、普通に近い「生活」をサポートすることが大切なことである。
介護をすることは、家族への愛だけでは支えられず、体力的にも精神的にも苦痛に感じることがある。
1日1回、誰かに「ありがとう」を言うことが自分へ贈る花束になる。」
と語り第二回目の講義を終えた。

東郷氏が実際に経験したことだからこそ、よりリアルに感じることが出来た。
相手の立場で考える。これは介護の時だけではなく、我々が普段から無意識に考えていることではないだろうか?
介護環境において特別なことはなく、普段の無意識を意識化するだけで、より良い介護環境が生まれるのではないかと感じられる講義であった。

イベントページPeatix:まちの大学「家族の視点で学ぶ介護の世界 ―自分と家族ともう一度向き合うために―」

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