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「親と共に人生を生ききること」家族の視点から学ぶ介護の世界についてイベントレポート

2020年1月19日に行われた”家族の視点から学ぶ介護の世界について”の講義に参加してきた。

本講義は面白法人カヤックが主催する「まちの大学」の一部として行われた。

まちの大学とは

2019年5月に開校した鎌倉に根ざしたコミュニティスクール。

地域資本主義を掲げ、環境資本・社会関係資本など、地域に根ざした資源を蓄積し還流させることを目的とした「まちのシリーズ」の1つとして、地域に根ざした学びを増やす活動を行なっている。

鎌倉の地域の特徴として3つのテーマを取り上げ、フード学部、ボディ&マインド学部、アイデア学部がある。

まちの大学HP
面白法人カヤックHP

本講義は3回に渡って行われ、今回第一回目の講義では東郷 俊宏氏(順天堂大学協力研究員/鍼灸salonえれじあぷらて〜ろ主宰)が、自身が両親を看取った経験、特に今回は自宅で母親を看取った経験を基に行われた。

講義は記憶にも新しい厚生労働省が作成した人生会議のポスターの話題から始まった。

まてまてまて俺の人生ここで終わり?
大事なこと何にも伝えてなかったわ
それとおとん、俺が意識ないと思って隣のベッドの人にずっと喋りかけてたけど全然笑ってないやん
声は聞こえてるねん。
はっず!
病院でおとんのすべった話聞くなら家で嫁と子どもとゆっくりしときたかったわ
ほんまええ加減にしいや
あーあ、もっと早く言うといたら良かった!
こうなる前に、みんな「人生会議」しとこ

 

厚生労働省が作成した人生会議PRポスター

本来は「本人の意思表示が形になっていないと本人も望まない最期を迎えることがあるので、家族で普段から話し合いすることが大事」と伝えたかったはずの内容が、うけとり手によって言葉の捉え方が変わってしまったという問題提起から始まった。
このポスターが多くの人の拒否反応を引き起こしたのは、このポスターが意図せずして、人びとが「死」に対して知識が乏しく無防備であるかを暴露するような効果を持った結果なのではないかと話しており、自身の経験からも”覚悟しろ”など介護の現場においてかけられる声かけが、聞いている家族には無言の圧力を強いるものとなることがしばしばあると語っていた。

本講義において東郷氏が常に伝えていた言葉が”介護に対するリテラシーの低さ”であった。
このリテラシーの低さは「体への理解が低い事・介護は初めてだらけ」という事が大きく関わっているとのことであった。

実は義務教育において、呼吸や消化、体の恒常性について学ぶ授業はあり、身体について勉強している。
しかしながら病気についてなど「ライフサイクルを通じた身体と心の変化」についての勉強はほとんど用意されていないとのこと。
最近では命の授業などを通して病気に対して触れる機会は増えたもののまだまだ少ないのが現状であると話していた。

また高度経済成長期を期に始まった核家族化によって”老いと死”に関して目の前にする機会も少なくなったことで、その変化を受け入れられない状態も大きく影響しているのではないだろうかとのこと。

またドキュメンタリーやドラマにおいて医療者側を描く事は多くとも、家族視点での発信は非常に少ないことも”老いと死”を含む自身が目の当たりにする機会や当事者意識の薄れに繋がっているとも語っていた。

講義を行う東郷氏

講義中盤から後半にかけては”介護に対するリテラシーの低さ”に関する部分の話がメインとなった。
自身の経験した介護を踏まえて、介護に関わる職種の紹介とそれぞれの仕事の解説やケアマネージャーの選び方などを中心に展開、
特に自身も介護で経験し、かつ高齢者において多い認知症を併発した際の意識すべきポイントや、医療視点による患者の身体拘束問題などにも触れていた。

一方で介護をするにあたり一番家族として重要なことは、今までの生活をメモしてケアチームに共有することが重要だとも話していた。
入退院を繰り返したりする中で、以前の段階でどのような生活を送っていたのか(生活水準)を理解しているのは家族であり、関わる人たちはその時点での状態しか知らない。
介護プランを作成する担当者会議において専門用語が飛び交い理解できないことが多々あると思う。その中でも家族が参加する役割は、今までの生活をケアチームに示すことで”生活の連続性”を持たせることが重要であると話しており、それによって介護のゴールも変わってくるため介護をする際は意識しておくべきポイントであるとのこと。
また介護は関係する人々との物語と重なり合いながら形成されるものであるため、家族が主体的に物語を作る側になっていくことが重要であるとも語っていた。

印象深い語りの内容として、入院中の食事の話があった。
食事の介助も自宅であれば付きっきりで時間をかけることが出来るが、入院すると時間の制約からそうはいかない。
その現状をみて「食事の介助は自分が行いますと」伝え、実際に食事の介助を行ったそうだ。
病院食を口に運ぶもどうも食事が進まない中である時、好物であったシュウマイ弁当を買っていくと、それまで無表情だったのが笑顔に替わり喜んで食べたとのお話しがあった。
もちろん(一部の)看護師さんには叱られたそうだが、その中でも理解ある看護師さんには食事の量だけ教えて下さいなど優しい声かけもあったとの事。
そんな経験を通して「母の食べる事への想い」は自身にとっても介護の原点になっていると話していた。

介護を通じて老いや死にに向き合うことが自分の身体を見直すきっかけとなったと同時に、”大切なことは看取ることそのもの”ではなく「周囲の力を借りながら親と共に人生を生ききること」であり物語られるいのちであるべきだと語り第一回目の講義は幕を閉じた。

近年鍼灸業界は訪問治療の需要が増えており、今後は医療者として介護に関わる事も増えてくることが予想される。
その中で私たち鍼灸師がどのように関わりケアチームの一員として携われるかを考え直す貴重な時間となった。

まちの大学で行われている本講座は残り2回ある。
2回目は具体的な介護環境について
3回目では悔いのない看取り
それぞれのテーマで講演が行われる。
需要が増える在宅医療の関わりにおいて介護の視点で興味がある鍼灸師・学生はぜひ参加してもらいたい。

イベントページPeatix:まちの大学「家族の視点で学ぶ介護の世界 ―自分と家族ともう一度向き合うために―」

その他

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