まずは問題を解いてみよう
解説
この問題の意図
心筋梗塞についての理解と選択肢の単語について理解しているか問われた問題。
用語の解説
左冠動脈は心臓の前側と後側を栄養する血管です(前枝と回旋枝)。
右冠動脈は心臓の下側を栄養する血管です。
これらは特に左心室に栄養を送っています。
心臓は全身に酸素や栄養を送るために絶えず左心室から血液を拍出しています。心臓自体を栄養する血管も同様に左心室から出ており、その動脈を冠動脈と言います。
この冠動脈が何らかの原因で閉塞し、心臓に栄養を送ることができなくなり、心筋が壊死してしまった状態を心筋梗塞と言います。
この状態になると心臓は機能不全に陥りますので、全身に血液を送る量が減少するなどの現象が起きます。
選択肢の用語について下の表にまとめました。簡潔に説明しますと、塞栓は何かが詰まってしまい循環障害を起こした状態のこと。水腫はリンパ液や漿液が、うっ血は血液が循環障害によって停滞している状態という認識でいいかと思います。
単語 | 意味 |
塞 栓 | 血管やリンパ内に何かしらが詰まり循環障害が起きていること。 |
水 腫 | 組織などにリンパ液や漿液が多量に貯まった状態。臓器に起きた浮腫。 |
うっ血 | 身体部位で静脈血が異常に多く貯まった状態。 |
選択肢の解説
心筋梗塞で心拍出量が減少したため、肺に血液や漿液が過剰に貯まり、微小な血管が破損し出血を起きる場合があるそうです。基本的には心筋梗塞よりもGoodpasture症候群(抗糸球体基底膜腎炎)や全身性エリテマトーデスなどの膠原病によって肺出血(同義:びまん性肺胞出血)は起こるようです。
心筋梗塞で心拍出量が減少したため、肺に血液や漿液が停滞します。その結果、肺水腫は起こります。
心筋梗塞で心拍出量が減少したため、肺に血液や漿液が停滞します。その結果、肺うっ血は起こります。
肺塞栓の原因の多くは血栓性です。心筋梗塞で心拍出量が減少しているため、血液の流れは悪くなっています。このせいで血栓が生じやすいことが考えられます。ですので、肺塞栓になる可能性はあると考えられるのですが…
しかし、この問題では単なる心筋梗塞ではなく、”急性”心筋梗塞で死亡と表現されています。急性であるため、血栓ができ肺塞栓に至る可能性は低いといったことでしょうか。
これらより導き出される解答
上記より答えは「塞 栓」
まとめ
今回は色々悩まされる問題だったかと思います。単純に考えれば出血は起きないだろうと出血で回答しそうですよね。国家試験当日では緊張感や試験時間による焦燥感によって余計に難しく見えてしまうかと思います。ですので、このような難しい問題はとりあえず答えておいて全問題が解き終えてから余力があれば見直しの際に深く考えて解くことをお勧めします。
ちなみに肺出血の原因に僧帽弁狭窄症が記載されていますので、膠原病だけではなく、心疾患によって肺出血が起こるということは把握しておいていいかと思います。
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